空室四号

ゲームコラム中心雑記ブログ

ゲーム・コミュニティ・コンプレックス

889フレぐらいの遅らせ大ゴス

先日少しショッキングな出来事があった。その出来事に遭遇した直後はそんなに衝撃はなかったのだけれど、あとからボディーブローのようにじわじわと効いてきた。

そう、格ゲーが大好きな友人が「もう格ゲーをやるのは、いいかな……」とポツリと口にしたのである。

よくよく話を聞いていくと、彼はもうプレイヤーとして格ゲーを触ることは断念するが、完全に格ゲーを離れるわけではなく、プロプレイヤーや有名ストリーマーたちの活躍を動画でチェックをすることによって格ゲーとの付き合いを続けていくということらしい。いわゆる格ゲー界隈でいうところの「動画勢」になるということである。

僕はそれを受けて「まあ時間もないし、人それぞれあるからな……」ぐらいの感想を述べたような気がする。

だがしかし、やっぱりあとから考えてみると少しショックだった。今日は少し、この場を借りてこの出来事を消化していきたい。

 

人生のエンドコンテンツ

我々が人生を歩む上で、どうしても極めきれない、いわゆる一つの「エンドコンテンツ」をあげるとするならば、やはり「人間と関わり合うこと」というものが真っ先にあげられると思う。

あらゆる趣味に手を出し、あらゆることに飽きたとしても、どうしても人と関わり合うことは我々の心を揺さぶって止むことはない。やめることが許されない苦痛や憤り。また、やめる気などおきないほど楽しく愛おしい気持ち。

僕らはゲームの世代でいうならば「コンシューマー一強世代」だ。もちろん世代に関わらずあらゆるゲームに触れ、あらゆるゲームの楽しみ方はそれぞれにあったはずだが、僕らの世代におけるゲームの青春時代の過ごし方といえば、家でコツコツひとりでゲームを(特にRPGを)プレイすることこそがゲームの楽しみ方の王道であった。

僕らは名作をたくさんプレイし、個人の体験としてそれらを消化してきた。そんなかけがえのないゲームの体験たちは、素晴らしい文学や映画のように、僕らそれぞれの心のなかで宝物のようにきらきらと輝いているはずだ(そうだろう?)。

その代わり、僕らの世代は奇妙に「ゲーム・コミュニティ」というようなものから絶望的に切り離されているのである。

上の世代を見れば、ゲーセンで不機嫌な顔と顔を突き合わせ、好敵手と共にコンボの猶予フレームの答え合わせや、また誰よりも高いスコアを叩き出すための、とてつもない濃いコミュニケーションをしてきた連中。

下の世代を見れば、アバターとハンドルネームとテキストと声でもって偶像へと難なく憑依し、そうして世界中から集まった同じく膨大な数の偶像たちと、ネットの海の中で寄せては返し、くっついてはまたすれ違い(まさに夢見てきたSF世界のゲームだ)、よりゲーム世界に没入したコミュニケーションをしてきた連中。

……そんな世代に挟まれて、僕らの世代のゲームは、言ってしまえばただの素晴らしい芸術で、ただの儚い夢物語だったのだ。

これは何度もこのブログでしてきた話である。もはやゲームの何を語ろうとも、このテーマへとどうしようもなく行き着く。

 

やっぱりおれはおまえらとゲームの話がしたい

格ゲーをやめた彼は、正しい判断をしたと思う。僕らの世代は逆説的に、積極的に人里へと還るべき運命を背負った世代なのだと思う。

時間や生活と折り合いをつけてゲームをやめるならやめるべきだし、あくまで現役としてゲームを続けるならば、何かしらのゲーム・コミュニティに関わるべきだ。

中でもソーシャル・ゲームやオンライン・ゲームで難なく偶像に憑依できるならばそれが最高だ。僕はどうしても馴染めずにいるが、すれ違う偶像たちの片隅でなんとかやっている。

だからこそ、僕は彼が完全にゲームから離れてしまわないで良かったと思っている。

僕らはオンラインや動画配信の中で、もっとその奥にいるゲーム・プレイヤーを見つめるべきだ。

もしそれに疲れたとしても――心配ない。儚い夢物語たちはいつでも僕らを待っている。それはそれで、僕らの青春にしかなかった素晴らしい体験だ。

彼はよく言う。

「ゲームはどこかの地点で、必ず終わってほしいんだ」

そう、夢物語はいつか終わりがくる。勇者は旅立ち、魔王は倒され、姫は救われる。おしまい。本は閉じられ、幕は閉めきられ、スクリーンには闇が落ちる。

そして僕らは一時的に勇者から人に還る。還るからこそ、その素晴らしい体験を持ち出し、人里で冒険の感想戦をしようではないか。

……少なくとも、僕らの世代がゲームを通してしてきた唯一の人間との関わり合い方は、それだった。それしかなかった。ならば僕は――偶像に完全に憑依できず、配信にも熱中できない僕は――ゲームをプレイする限りはいつまでもそれを続けようではないか。

 

追伸

久しぶりに戻ってきました。またここまで読んでくれたあなた、ありがとう。

色々思惑があってコメント欄を設けていましたが、色々思惑があって近々停止する予定です。それでは、また機会がありましたら。