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空室四号

感謝と贖罪

魅惑の「ニンテンドウパワー」!今となっては驚きのローソンのゲームサービス

ゲームのダウンロード購入が当たり前となった今、ダウンロードゲーム市場では最新ソフトの販売サービスだけではなく任天堂ハードによる「バーチャルコンソール」やSONYハードによる「ゲームアーカイブス」といったようなレトロゲームを安価でダウンロード購入し最新ハードで遊ぶことができるサービスも平行して行われている。

しかしダウンロード時代到来以前、任天堂は今となっては驚くべき手法でレトロゲームダウンロード販売を行っていたことがあるのだ。その名も「ニンテンドウパワー」である。ちなみに現在においては「ニンテンドー」と表記されることが多いが、これは「ニンテンドウ」である。

 

肝心のサービス内容はと言うと、つまるところファミコンの「ディスクシステム」のスーパーファミコン版のようなものなのだが、「ディスクシステム」がソフトの書き換えだけではなくセーブ機能や音源やネットワーク機能(なんとパソコン通信に先駆ける形で任天堂ファミコンにネットワーク機能を搭載していた)といったファミコン自体の拡張性に重きをおいていたことに対し、「ニンテンドウパワー」はより安価で安定した書き換え機能に重きをおいたサービスであると言える。

 

具体的な手順は、まず専用の空カセットを購入し(白ロムですと言わんばかりの白いカセットだ)、ローソンのLoppiにて欲しいゲームを選択する。

そうして出てきた注文用レシートと空カセットを持ってレジにてお金を払うと、店員さんがスーパーファミコンを模した専用のマシンにガチャッと空カセットを差し込み、選択したゲームを空カセットに書き出してくれるというものである。

私も少年のころ何度か利用したが、店員のお姉さんがカセットをマシンに差し込む様が妙にシュールだったのと、書き込み完了までの待ち時間がとてもワクワクしたことを覚えている。平行して販売されていた説明書を兼ねたカタログもボロボロになるまで眺めた。

 

お値段は1本1000円からと今となっては微妙に高い。容量はと言うとカセットひとつにつき最大で7本ぐらいまでゲームを書き込めたような気がする。もちろん何度でもソフトの書き換えは可能である。

しかし「ディスクシステム」が初期費用15000円ほどだったことに対し、 「ニンテンドウパワー」は空カセット(たしか2000円ちょっと)だけで済むのは手が出しやすかった。

そしてなんと言ってもローソンのLoppiでサービスが受けられるというのが非常にシュールで、ゲーム業界の最先端を感じたものだった。

 

個人的に印象に残っているソフトは『ファイアーエムブレム紋章の謎』と『スーパーファミコンウォーズ』である。

ファイアーエムブレム』は実はソフトを持っていたのだが、当時のスーパーファミコンのカセットはふとした拍子にセーブデータがすぐ飛んでしまい、最大の敵はカミュでもガーネフでもメディウスでもなくセーブデータのご機嫌だ、と言った具合で、いくらステージをクリアしたところでセーブデータが長大な冒険に耐えられず膨大な時間と苦労があっという間に無にかえったものだった。

書き換え用カセットではそんなことはなく、メリクルソードを持ったゆうしゃオグマ以上の安心の中でようやくメディウスを葬ることができたのは感慨深い思い出だ。

 

スーパーファミコンウォーズ』は「ニンテンドウパワー」専用ソフトで、つまり書き換えサービスを受けなければプレイすることができない代物だった。

ファミコンウォーズ』のリメイクと新作を兼ねた意欲作で、シンプルで奥が深い戦略シミュレーションと、とにかくその膨大なボリュームが心を打った。

 

今となっては家にいながら専用機器を買うこともなくレトロゲームがプレイできる。普段当たり前に享受しているサービスだが、そんなサービスの裏にもメーカーの努力と工夫の歴史がある。

技術の進歩にここでもう一度感謝と賛美を送りたい。